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  • 2014.11.04 Tuesday
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とべとべおねいさん  原編  後編

クレしん映画レビュー大会、原編の後編です。

ちなみに、前編はコチラ→ http://sumou-zanmai.jugem.jp/?eid=192#sequel

いよいよ、問題の2作にメスを入れます!
各所からのバッシングを覚悟しつつ、原バッシングバッシング!!




「嵐を呼ぶジャングル」  監督:原恵一




http://www.youtube.com/watch?v=x5eODcHIkX0


【ストーリー】

アクション仮面の新作映画の試写会を兼ねた豪華客船ツアーに参加する、しんのすけ率いるかすかべ防衛隊とその家族たち。
しかし、試写会の途中で謎の猿軍団に襲撃を受け、大人たちは全てさらわれてしまう。
子供たちだけになってしまった船内で、かすかべ防衛隊は仲間割れをしながらも、ジェットスキーに乗って大人たちがさらわれた南の島に乗りこむ。
そこはジャングルに覆われた絶海の孤島。子供たちの冒険が始まる!


【レビュー】

しんのすけが憧れるヒーロー、アクション仮面を題材にした本作であるが、かつての「ハイグレ魔王」とは趣を異にしており、ここにおいてアクション仮面は超常的なヒーローではなく、生身の人間がやってる特撮ヒーローに過ぎない、という設定である。
リアリズム志向の原らしい設定であり、子供向け作品に対する一種アンチテーゼとも言える挑戦的な試みだと言える。

さて、本作には致命的な欠陥があり、結果的にこの作品に混乱を招いている。

それは、アクション仮面の活躍という側面と、ジャングルでの子供たちの冒険という側面の乖離だ。
特に言っておきたいのは、表題にもなっている「嵐のジャングル」というのは、まごう事無き【看板に偽りあり!!】で、中盤以降は舞台は悪役の根城になってしまい、ジャングル感を本作で堪能するのは難しい。かつ、終盤は悪役・パラダイスキングとアクション仮面の一騎打ちが中心になるので、クレしん映画っつーか アクション仮面映画になっちゃう。

今までも、そしてこの作品の後においても、かすかべ防衛隊が大々的にフィーチャーされた話は珍しく、着眼点は良かったのだが、話を子供の冒険だけに徹しきれなかったのが、本作の大きな失敗だと思われる。せっかく子供を主役にする為に大人たちを隔離したの に、大人たちを救出するの、早いな〜〜〜〜〜〜!!と本編を見ながら私はズッこけた。
グーニーズや劇場版のドラえもんみたいな、子供たちによる子供たちだけの冒険を本作に期待していたのだが、その望みは叶えられなかった様だ。

また、他のシリーズに比べて、今作の悪役・パラダイスキングの存在に?マークが付き過ぎるのも問題で、なんつうか、無茶苦茶な設定なのに、その無茶苦茶な設定を遊びきれてない。かつ、今までの悪役に比して弱そうに見えてしまう事だ。
何故なら、今までの悪役は組織ぐるみでしんのすけ達に襲いかかってきたのに、今作においてはパラダイスキングは完全にワンマン。しかも生身の人間で超能力の類も一切ナシ!!終盤、部下のサル達が無力化されると、敵はパラダイスキング一人になってしまう。これ、大人たち全員で一気にかかれば勝てるんちゃう? と、子供レベルの疑問が出てきちゃうんですよね〜。
思うに、この設定は当初、子供たちだけで戦う為にあらかじめ弱めに設定されていたのではないか?と思うんだけど、色んな要素を継ぎ足していく過程で、こんな歪みが起きたんじゃないかな〜〜〜〜?と邪推してしまう訳です。(あくまで憶測ですよ!!)
と言う訳で、いつもは手に汗握るラスボスとのバトルなんですが、今回は全然ノレなかったんです。

と言う訳で本作は、原作品の中でも微妙なラインの作品になってしまったが、勿論イイ所もある。

それは・・・
アクション仮面が、カポエラするとこ!!
このアクション仮面の足さばきがねえ〜、素晴らしいんですわ。イロモノ格闘技カポエラの実践的な動きが生き生きと刻印されておる。アニメで本格カポエラアクションが見れるのは、クレしんだけ!!!!

ただ、一つだけ言えるのは、原のリアリズム演出がここまで歪な形で表出してしまっているのはある意味珍しいって事だ。これは、原の中で増大してきた作家性と、クレしんのエンタメ路線との板挟みで、作品が引き裂かれる形となってしまったのではないだろうか?
純然たる子供映画の作り手としては、もはや落伍者となりかけた原は、次回作で思わぬ一手を打ったのである。




「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」  監督:原恵一




http://www.youtube.com/watch?v=5ei4d2vdLr4&NR=1&feature=fvwp




【ストーリー】

最近、大人たちがおかしい。しんのすけ達子供をほっぽって、20世紀博に入り浸り、懐かしさに夢中なのだ。
街もどこか懐古趣味に染まり切った頃、テレビから聞こえる「明日、お迎えにあがります」という言葉と共に、街は眠りに付く。
翌朝目覚めると、大人たちは子供に逆戻り。子供の事もすっかり忘れている。そして、そんな大人たちを連れ去るオート三輪。街には子供しかいなくなった。
これは、秘密結社イエスタデイワンスモアの恐るべき計画で、古き良き昭和に大人たちを閉じ込めるオトナ帝国を作る為の侵略の第1歩だったのだ。
そうこうしている内に、子供たちも鹵獲し始めるオトナ帝国。しんのすけたち、子供の抵抗が始まった!しんのすけは家族を、大人たちを取り戻せるのか?



【レビュー】

映画に限らず、シリーズものを長く続けていると、突然変異的に途方もない傑作が誕生する事がままある。
ルパン三世で言えば、「カリオストロの城」。バットマンで言えば、「ダークナイト」。うる星やつらで言えば、「ビューティフルドリーマー」。
これらの作品の共通点は、シリーズものの旨みを踏襲した上で、さらに他の作品ではマネの出来ない高み(批評性だったり時代性だったり)に到達しており、他のシリーズ作品には持ち得ない普遍性を獲得している点だ。

そして、劇場版クレしんにおいては本作「オトナ帝国」がこれに当たる。

久々に見返してみたが、とにもかくにも隙のない作品だ。前2作で消化不良気味だったアクション・活劇要素を大胆に展開しながらも、一方で骨太のドラマが息づいている。
テーマを一身に引き受ける今作の悪役ケンは、風貌、目的、そしてそれに付随する世界観において必然性の塊で、ミリ単位の調整が為されている。なおかつ恐ろしいのは、それがクレしん世界と違和感なく同居している点だ。
かつてドラえもんは、机の引き出しや畳一枚を隔てた、日常のすぐ隣に非日常の世界を展開せしめていたが、クレしんもとうとうその高みに到達したのだ。

みんな気付いているだろうけど、本作においては本質的な主役はしんのすけではなく、父親のひろしだろう。
テーマはノスタルジック。それに溺れていくひろしの葛藤は、確実に我々の心臓を射抜く迫真性を持っている。中盤、オトナ帝国の洗脳が解けたひろしが現実を見失うまいと必死に叫ぶ、『チキショー!懐かしさで頭がおかしくなりそうだ!!』とゆうセリフは、間違いなく本作のハイライトだ。

今までの原は、自らの作家性と、クレしんシリーズの子供映画という制約に板挟みにあっていた。
そこで、今回は大きく発想を転換し、クレしん側の世界を、自らの得意分野である実写映画を基にしたリアリスティックな世界に巻き込む!という荒業を駆使した。するとどうだろう?今までは異物感のあった原の実写趣味は、ここでは劇場版における非日常へと繋がったのだ。
水を得た魚の様に、今作での原のリアリズム演出は爆発する。まるで実際に見て来たかのような、昭和30〜40年代の風景は、これ以上ないくらいに写実性に富み、生き生きと描かれている。
そして、一方ではそういった懐古趣味に耽溺する危うさも本作では内包し、見事に描ききっている。
これは近年、CGで出来た「三丁目の夕日」を有難がる風潮を真っ向から批判する言説であり、時代を先どる先見の明があったという事だろう。

温故知新に見えて、実はラジカル。懐古趣味に終わらない、骨太で実直なドラマ。
原はここに来て、自分の作家性に目覚めたのだ。今作は、クレしん映画的にも、作家としての原にとってもターニングポイントとなる一作である。


だが、ここにおいて、原は一つの英断をする事になる。それは「クレヨンしんちゃん」という作品そのものを映画の為に切り捨てるという行為だ。
映画の中盤まではまだ、ギャグやアクションを基にしたファンサービスで魅せてはくれるが、後半になるにつれ、徐々に原イズムが我々に襲いかかる。
そして、物語のクライマックス。。。かの有名なしんちゃん大劇走だ。そこにあるのは、我々が慣れ親しんだしんのすけではない。ボロボロになりながらも必死に走り、悪役に不義を訴えるその姿はヒーローそのものだ。

僕は、そこに違和感を覚える。

ク レヨンしんちゃんって、こんな話だったけ?と。じゃあ、前半で展開されていたギャグやドタバタって一体なんだったの?しんのすけって、そもそも「良い子」ってゆう大人の都合へのアンチテーゼじゃなかったの?そうゆう疑問・・・というか、どうにも腑に落ちない気持ち悪さが拭えないのだ。
(クレしんにしては)過剰にドラマチックでヒロイックな本作は、通常の映画としては成功していても、クレしん映画としてはとんでもない矛盾を抱えている事になるのではないか?

以前からこういった、しんのすけヒロイックの萌芽はあった。映画のテーマにキャラがしばしば引っ張られる場面もいくつかあった。しかし、今まではかろうじて水面下に押し留められ、露呈をまぬがれていた。
そういった水面下での事象が、本作で顕在化し、開花したのは間違いない。ここに、長年続く【しんのすけヒロイック問題】が爆誕する。

・・・そして、この事案の一番の問題点は・・・本作の絶大なる評価を背景に、このしんのすけがヒロイックに振舞うとゆう倒錯が、以降デフォルトとなってしまう事だ・・・
以後のクレしん映画は、原の残した【しんのすけヒロイック問題】とゆう負の遺産と戦う羽目に陥るのであった・・・


ってゆう問題点を考えなければね!文句なしの傑作でええええ〜す(棒読みで)






「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」   監督:原恵一




http://www.youtube.com/watch?v=rUFrEYh17A8


【ストーリー】

シロが庭から古文書を掘り出した。何とそこには、ぶりぶりざえもんが描かれており、こんなもの埋めたかな?と訝しがるしんのすけだったが、「おひめさまはちょーびじん」の記述に心躍らせ、美しい姫君の夢を見るのであった。
そして次の日、朝目覚めるとしんのすけは何故か戦国時代にタイムスリップ。
たまたま迷い込んだ合戦場で偶然から、武将・井尻又兵衛の命を救ったしんのすけは、彼の居城、春日城の客人となる。そして、そこには夢で見た姫君、廉姫の姿があった。
又兵衛と廉姫の恋路を陰ながら応援するしんのすけ。だが、そんな中、戦乱の気配が春日城に忍び寄ってくるのであった。



【レビュー】

クレしん映画最大の問題作と言ってもいい今作。あえて言うならば、奇作。
しんのすけが戦国時代にタイムスリップしてすったもんだを繰り広げる、とゆう設定だけを抜き出せば、これより以前に公開された「雲黒斉」と似通っている印象を受けるが、その実、180°趣きが違う作品となっている。

本作のキモは、時代描写リアリズムの徹底である。

そのクオリティには鬼気迫るものがあり、当時の最新資料を紐解き、緻密な時代考証によって虚飾にまみれた設定をことごとく排除。
結果、合戦シーンを始め、山城や武家屋敷などの舞台美術、武将や侍女・農民などのキャラの所作に至るまで、全てにおいて徹底したリアリズムが息づいており、 時代劇・戦国時代とゆう大河ドラマなどで見慣れたはずのジャンルなのに、目に映るものが全て新鮮に映った。。。ぐらいに、今まで全く見た事ない時代劇と なっている。

特に合戦シーンなどではそのリアリズム戦法が極地に達しており、刀で敵をバッサバッサ斬っていく立ち回りや、大砲鉄砲ドッ カーン!ドッカーン!などの派手な要素はほとんどない。投石戦法や槍での陣地の取り合いなど、ジリジリと地味な描写が続き、「なんだか、凄い事になってる!!」と驚いた。
ただ、地味ながらも戦場の臨場感は素晴らしいものがあり、敵味方双方ともに死者が出たり(モブではなくちゃんとした登場人物 ダ!!)、かなりハードコアなノリ!!特に中盤で展開される籠城戦は手に汗握る迫力!矢や砲撃が飛び交う中、駆け出すしんのすけを見て、「しんちゃん逃げ て〜〜〜〜〜!!」と思わず叫びそうになった。

そんな「仕上がってる」作品世界で描かれる物語は王道の悲恋もの!!
こういうリキの入った舞台設定においては、こねくり回したプロットなど無用の長物なのだ!!身分差ゆえ、または戦時中ゆえの、悲恋。。。というベタにベタをかける、ベタ踏みの嵐なのだが、それがどうした!!ちゃんと丁寧に面白くやってくれりゃ何も文句はないんだよぅ!
殊更、登場人物の機微を細かく積み上げ、キャラクターの心情を丁寧に掘り下げていく、原恵一の演出力は冴えに冴え渡っており、登場人物への感情移入もバッチ リ。押したり引いたりの手練手管も含め、今作はマジで、ホンイキで「泣かせ」に来てる。この波状攻撃に抗える者はそういないだろう。

特に、本作の主役格たる又兵衛のキャラクター造形は、原イズムの集大成とでも言うべき完成度で、彼の一挙一動はこの作品そのものとでもいうべきアウラが漂っているのである。今まで少なくもないアニメ観賞を積み重ねてきた自分だが、ここまで実在感に富んだキャラは他に見た事ない。ボイスアクトの屋良有作(「ちびまるこちゃん」のひろし役が有名)の滋味の効いた名演も含め、深く印象に残るキャラクターだ。これは、アニメ好きにこそ、是非に見て欲しい。

かように、身体がちぎれるぐらいに誉めちぎっているが、これでも物足りないくらい、本作は稀代の傑作である。少なくとも時代劇においては、他の追随を許さない完成度である事は間違いない。


しかし、皆様。。。冷静に考えて欲しい


これ、クレしん映画やぞ!!!!!!

本作の最大の問題点。それは、しんのすけを始め、我々が慣れ親しんだ野原一家やかすかべ防衛隊の面々は全くいらないのである!!
百歩譲って、しんのすけの様な役割は必要だろう。だが、それがしんのすけである必要は全くない。
傑作の香気とでも言うべき、本作のパーペキなアウラの中において、しんのすけの異物感たるやハンパなく、見ていてイライラするくらいマジで邪魔だった。違和感の塊。
特に、終盤。涙を流すしんのすけなんて、甚だおかしくて、もう、全く見ちゃいられない。オラ、こんなもん見とうなかった!!(古い!!)

あと、個人的に一番不満だったのが、しんのすけと野原一家がタイムスリップした理由が、かなり不明瞭だった事!時に活劇性を阻害する程に、必然性を優先する原恵一にしては、かなり重大な手落ち。
何故なら、しんのすけがタイムスリップし、現代に帰れない理由は作品のテーマと深く関わってくるべきもので、その設定こそが、普段の日常と劇場版の意識の分水嶺の役割を果たしているからだ。
だから、そこをおざなりにすると、上手く感情移入できないんですけど!さらに、野原一家がなんで後から追いついて来たのかの説明は全くなかったし。
「雲黒斉」で鮮やかに時間SFをキメてくれたのを見てるだけに、今作のタイムスリップ設定のおざなりさに、何か、哀しくなったよ・・・原センセイはSFに全く興味がないのですね・・・

原恵一の作家性が爆発し、稀代の傑作に仕上がった本作。だが、クレしん映画としては全く機能していないというギルティ、矛盾を抱えた作品でもある。だから、本作の評価は非常に悩ましいのだ。一概に良くも悪くも言えないのだ。
これを何で、オリジナル作品でやってくれなかったのか・・・いくら悔やんでも悔やみきれない。

そういったクレしん映画史の中でも最大級の爆弾を投下して、原はクレしんの監督を降りた。
以後、数年間に渡って、クレしん映画はこの作品の亡霊を追いかける事になる。
過剰に感動を煽りたて、しんのすけがヒーロー然と振舞う【しんのすけヒロイック問題】は以後、拍車がかかってくる。
原恵一の、クレしん映画に対しての功罪を考えると夜も眠れなくなるが、数々の傑作を残していき、クレしん映画の躍進に貢献した大監督に敬意を表して、この項の結びにしたいと思う。

もう二度と戻ってくるなよ!!!!!!!





※オマケ


「はじまりの道」  監督:原恵一






【ストーリー】


太平洋戦争下の日本。新進気鋭の若手監督、木下恵介は、軍部に要請されて作った戦意高揚映画、「陸軍」のラストが女々しいとゆう理由で、次回作の制作を打ち切られた。
激怒した木下は、映画会社を辞職し、故郷の浜松市に帰った。
激化する戦争の中、田舎に疎開しようとする木下家。しかし、病床の母たまを安静に運ぶ為、バスなどの公共交通機関は使えない。
そこで、リヤカーで60kmの道を手押しで運ぶ案を立てる恵介。最初は家族中に反対されたが、恵介の熱意に押され、恵介の兄・敏三と、金で雇った便利屋の三人で母を寝かせたリヤカーを運ぶ事に。
しかし、道中は峠越えもあり、天候も悪くなったりで過酷の一文字。恵介たちは、母を無事に疎開させる事が出来るのだろうか?


【レビュー】

以前より、実写映画・・・とりわけ戦後の映画黄金期に活躍した大監督、木下恵介からの影響を公言していた原恵一。そんな原が、満を持して実写映画デビュー・・・しかも木下恵介を題材にした作品!原ファンならずとも、これはかな〜り気になる作品・・・!
と言う訳で、タイミング良く劇場公開してたので、本稿のオマケとして見てきましたァン!!

まあ、自分はアニメ作家としての原恵一には懐疑的だけど、この人の実写映画はどんな塩梅だろうかと気になってはいたのでね!
不勉強ながら、木下恵介作品は「楢山節考」しか見た事なかったので、木下映画素人の意見として、大目に見て下さいませ。


んで、先に結論から申しますと、、、やはり自分は原恵一という映画監督がイマイチ好きになれないなあ〜、と思った次第。しかし、作品の質自体は素晴らしい!!とゆう、また捻じれた感想を書く事になってしまった。

順を追って説明すると、これは実際に木下恵介が戦時中に体験した史実で、母を手押しのリヤカーに乗せて疎開させた、というエピソードを膨らませて、映画監督・木下恵介の再生物語として再構成した作品なのである。

アニメ作品においては、やや欺瞞的とゆうか、「だったら実写映画を撮れば!?」と思わず問い詰めたくなる様な、原のリアリズム志向は今作において見事に開花する。
初めて実写映画を手掛けたとは思えない堂に入った演出。とりわけ、古き良き日本映画を意識したたおやかな雰囲気、カメラワーク、役者陣の演技がヤバイ!!50年前にタイムスリップしたのかと見紛うほどの完璧なワークスタイル!!恐れ入った。

特に、役者の演技は近年の日本映画の中では特異点!と思わせる素晴らしさで、加瀬亮・田中祐子親子の芝居はもちろん、スーパークールでチョベリグ!!だったのだが、しかしそれよりも印象に残っているのは便利屋を演じた浜田岳だ!!
これが見事なコメディリリーフ役で、近年ここまで喜劇役者然とした芝居を見た事はない!素晴らしいアクトだった。最初はこの役者さんの事をよく知らなくて、カラテカの入江かと思ってしまったんだが、それぐらいハマってたんだよ!(要は古臭い感じのお調子者って雰囲気)
この浜田岳のお調子者芝居を見る為だけに、本作を見てもいいぐらいに、見事な名演だった!!

また、原恵一の観客の涙腺を刺激する泣かせ芸も、もはや職人の域で、思った所にスコーン!と泣きを入れてきて、「コレは原の手練手管なのだ!」と、分かっていてもまんまと泣いちゃう。僕は観客がまばらな午前中の劇場に見に行ったのだが、スカスカの座席の中でも、観客が「スン・・・スン・・・」とすすり泣く音が聞こえるほどだった。僕は天の邪鬼なので、必死に抵抗を試みましたが・・・!

まあ、そんな【泣き】の部分も含めて結構楽しかったんだけど、やはり個人的にひっかかるとこも多々ありまして。。。

代表的なのは、本作においては木下恵介は一種の超然的な聖人として描かれていて、肝心の木下恵介に全く感情移入できない所。個人的には?の感情しか浮かばなかった。
母親をリヤカーで峠越えさせるなんて、どう考えても無茶な事言ってるのに、誰も強固に反対しない。むしろ、恵介は仕方ないな〜みたいな雰囲気。それも含め、 全体的に人物造形が性善説に根差されており、人間の汚い部分や身勝手な描写はほとんどないので、何か、上手く物語に入り込めなかった。ましてや、俗物の権化みたいなキャラのユースケサンタマリアを、恵介のイエスマンみたいな使い方をしてたのは甚だ疑問。ユースケサンタマリアの演技力に救われてるけど、ミスキャストぎりぎりの線だと思う。
そんな漂白された神話の様な世界の中で、唯一人間的な存在として描かれた浜田岳が一際素晴らしく見えたのは、然もありなん。

あと、道中に後の木下作品のモチーフとなる様な場面に遭遇するとこが結構あったんだけど、それも全体的にヌルくて不満。
木下はこの旅で後世、監督になる為のモチーフの全てを手に入れました、みたいな、、、要はこの作品自体をある種巡礼の旅、【マジカル木下ツアー】みたいな感じにも出来たと思うんだけど、そういった要素も程々に、あくまで実直に、母と恵介の絆、という部分に作品の焦点をあてている。

要は自分がこの映画で見たかったのは、自分の信念で決めた事は絶対に曲げない!ある種狂人としての木下恵介であり、その狂いっぷりが、映画監督としての木下へとつながっていく。。。みたいな物語だ。
まあ、でもそういった過剰な物語へのハシゴを、本作はあえて外していったのだろう、とも考えられる。まあ、自分の好みじゃなかった、ってだけなんスけどね。

まとめに、本作の一番凄い所。
それは、これを観終わった後、ムショーに木下恵介映画を見たくなるって所!!本作は木下恵介生誕100周年プロジェクトの企画の一環として制作された経緯があり、要は、木下映画のプロバガンダなのだ。
本作観賞後はそわそわビデオ屋に駆け込みたくなるっていうのは、この映画の要請に120%応えているという事であり、原恵一の力量は本当に恐ろしすぎる!!と思った。
ある種、掟破りの木下映画の引用オンパレード(オマージュ描写ではなく、原典そのままをかけ流し状態!)も、そういったプロバガンダとして十分に機能してい る。クライマックスの「陸軍」ラストシーン全部イッキ見せも、泣き所としても、木下映画のコアな部分の紹介としても素晴らしかった。
まあ、本編が終わった後、10分近くも木下映画の紹介VTRみたいのが流れたのは、さすがに「長っ!!」と思ったけど。




さてさて、長くなってしまいましたが、原作品レビューを終わります。
長年感じてた違和感をいっぺんに吐き出せてかなりすっきり致しました。まあ、かなり好み丸出しで書いたんで、公平性には欠けてますけど。まあでもね、一つぐらいはこんなレビューあたっていいじゃない。
文句があるなら、来い!!こっちは、いつでも謝る準備は出来ている・・・!


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