<< ご主人様、ヤバいです | main | あたらしいこうえんのこくち >>

スポンサーサイト

  • 2014.11.04 Tuesday
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


じゃっ、夏なんで!

いつも数えきれないくらいのくだらない作品に囲まれていると、よく思う

映画や小説や漫画など、本来はエンタメであるべき作品の中でつまんなさを貫くのは、ある意味気高い行為だと(もちろんそれを自覚的にやれていれば、の話だが)。つまんない=退屈さを観客に突き付けるのはものすごい覚悟がいる。そっぽ向かれてもイイ程に、その作品でやりたい表現があるのだから。

 

最近見た映画の中で、つまんなさについて考える。 





・半年ほど前に、「ニーチェの馬」を見た時は衝撃を受けた。
http://bitters.co.jp/uma/




強風が吹き荒れる中、荒野のほったて小屋の中で取り残される農夫父娘。
1日にこぶし大のじゃがいもを一個頬張るだけの極限に貧しい暮らしの中で、展開される物語はこれまた極限までにミニマムだ。
朝起きて、着替えて、井戸から水を汲み、馬に餌をやり、ジャガイモを貪り、日によっては編み物や洗濯をする。ただそれだけ。(交わされる会話は『食事よ』、『ああ』だけ!!)
日々の営みと言えば聞こえはいいが、画面から漂う殺伐さが、そのヒューマンめいた温かみを奪う。

この徹底的な事件性のなさを、5〜10分超の驚異的な長回しで写し取っていくのがこの「ニーチェの馬」だ。
怒り・悲しみ・喜び。我々が映画で見たい類のエモーショナルな要素は悉く排除され、怒涛のごとく無味乾燥な描写が続くだけだ。フィルムの中では、ただただ荒廃していく風景と人心だけが、写し取られている。

退屈も退屈。胸ぐらを掴まれて、口に無理やりつまんなさを詰め込まれていくような、そんな強迫的なつまらなさ。目の前に迫ってくるようだ。
しかしながら、その強迫性が同時にとんでもない吸引力を放つ。カットを割らない故、全ての動きを見逃せない(観客の視点を恣意的に操作できない)からだ。画面に集中せざるを得なくなるのだ。そうする事によって観客の心に一種の臨場感が芽生えてくる。

劇中では、登場人物が徐々に手足をもがれていくかのように、じわじわと追い詰められていく。ゆっくりと確実に、滅びの時が迫ってくるのだ。
退屈さの中に、その世界の終わりを告げる小さな綻びに気付いたら、あなたはもうこの圧倒的退屈世界の虜だ。その綻びはいずれ、とんでもない足かせとなり、どんどん重くなる。そしてそのプレッシャーは確実に観客に伝播する。
作品の終盤、我々はついに世界の崩壊を目の当たりにする訳だが、その時点で、我々観客の映画に対する没入感はMAXに達する。息苦しさ、とてつもない不安感、画面を覆い尽くす不吉さに身震いしていた。

「ニーチェの馬」は圧倒的な退屈さを身に纏う事によって、全く新しい映像体験を我々に提示してみせた。




「ル・アーヴルの靴みがき」はダメ人間映画の巨匠アキ・カウリスマキの新作。
http://www.lehavre-film.com/



フランスの港町、ル・アーヴルを舞台にイギリスの母に会いに国外に脱出する移民の子と、彼を匿っていくしがない靴みがきのおじいちゃんと、ル・アーヴルの下町住民との、心温まる交流のお話。
これだけ抜き出して書くと、如何にもおすぎ辺りが誉めそうな、良心的かつ判で押した様な文化映画ぽく見えてしまうだろう。
実際その期待は、裏切られる事はない。そればかりか、中には逃亡劇あり、感動のラストありの、お涙頂戴要素も盛りだくさんだ。
出来過ぎた、あまりにも出来過ぎた良い子ちゃん映画、つまりはつまんない映画っぽいのだ。
表面上は。

しかぁーし!アキ・カウリスマキの凄いところは、そんな平凡極まりないストーリーラインを、嫌がらせの如くのっぺりと演出する事にあるのだ!!
劇中、登場人物の感情描写は抑え気味、というよりかは、どっちかというとどう感情を表現していいのか良く分かってない風。動きも固くて大根っぽい。全員が全員、限りなく素人くさいのだ。

例えば小津安二郎なんかを例に挙げるが、何気ない日常を描写する映画というのは涙ぐましいまでの、リアリティーへの希求性がある。どうすれば自然になるのか?どう盛りつければリアリティーが増すのか?そういったクリエイターの気迫はフィルムから自然とみなぎって、その実、リアルとは別物の何かが立ち上ってきてしまう。
結局、小津映画で現出するのは濃厚なまでの小津空間でしかなくて、リアリティーなんて微塵も感じないからだ。しつこく言っていくが、僕は小津映画を万民が涙する庶民派の抒情映画ではなく、カルト映画だと思っている。

そういった、ある種の欺瞞に、アキ・カウリスマキは我慢ならないんだと思う。
映画が100年積み上げて来た映画文法から抜け出すにはどうすればいいか?形式化したリアルから逸脱するには?真にリアルな市井の人々とは、何か???
その一つの回答が、『間の悪さ』なんだと思う。

この「ル・アーヴルの靴みがき」に限らず、アキ・カウリスマキの映画では、登場人物が全て大根役者に見える。動きがぎこちなく、無駄が多い。会話のテンポもギクシャクで、流れる様なセリフ運びとは無縁だ。のっぺりとしていて平板。ハッキリ言って退屈だ。
つまり、通常映画や演劇が目指すべき洗練さとは対極にあるのだ。

そこから醸し出されるのは何か?それは人間が本来持つ、間抜けさや温かみだ。カッコ悪いからこそ人懐っこく、間が悪いからこそ強烈に人生が匂い立ってくる。
人生においては、スリリングで興奮する瞬間なんてほんの一瞬だ。残りは膨大な退屈時間で埋め尽くされている。アキ・カウリスマキはそこを突く。終始ボンヤリとして無表情でのっぺりと緩慢な動きをする登場人物は、すなわち我々自身なのだ。

アキ・カウリスマキの映画も退屈さを見に纏う事によって、軽やかに人生譚を語って見せる。人生とは退屈だが素晴らしい。




・友人から幻のカルト映画「幻の湖」を借りる。


これこそ、つまんない映画の本懐を遂げた作品だ。
「私は貝になりたい」「羅生門」「七人の侍」「砂の器」「八甲田山」と言った、日本映画の歴史に燦然と輝く名作を手掛けた脚本家、橋本忍。
その巨匠が制作・脚本・監督を担当して、作家生命全てを掛けた作品であり、東宝50周年記念作品として大々的に作り上げた超大作が、「幻の湖」である。しかし、あまりにも客が不入りでロードショーは2週間で打ち切り。これ以降、橋本は業界から干され、結果的に橋本のキャリアにとどめを刺した作品でもある。
それほどこの作品は強烈に、つ・ま・ら・な・い!!!!!!!!!

テーマはランニング!主人公はソープ嬢!ストーリーは愛犬を殺害されたソープ嬢の復讐譚!琵琶湖から戦国時代、果ては宇宙へ飛び出すトンデモ展開!!上映時間は2時間40分超え!!
これこそ、キング・オブ・カルト!!もーお腹いっぱい!!

この作品は・・・実はつまらなさとは対極にある。役者の演技やVFXは堂に入ってるし、なによりも画面からは妖気の様な緊張感がにじみ出ている。そして、上記の様な刺激的なコンテンツで満ち溢れているので、僕個人としては大変楽しく見れた。

しかし・・・全てはボタンの掛け違い。悲劇的なまでにこの作品は常人の理解を超えた次元にいる!!一体どこの世界に、愛犬を殺されたソープ嬢が愛犬を殺害した相手をランニングで打ち負かす話に共感する者がいるのだろうか!?
面白さとは即ち、日常からの心地よい逸脱だと思われる。日常にはないファンタジーこそが我々が作品を見る動機と言えよう。
しかし、そのファンタジーは我々の日常とどこか地続きでなくてはならない。どこかで我々の理解の範疇の中に納まらなくてはならないのだ。

逸脱そのものを遊びまくった、この「幻の湖」は、その劇薬ぶり故につまらない作品となり、カルト映画となった。万人の拍手喝さいを浴びるべく制作されたこの映画のたどった末路を我々は決して忘れてはならない。
面白さとつまらなさは常に、コインの裏表にある。




・さて、そんな感じで、歴史に埋もれたつまんない映画を皆で鑑賞しませんか?

そうです。つまんない映画を見る会 第2回目の開催です!!!!
今までのは長い長い前振りでした!!!!


つまんない映画を見る会 第2回

8/7(火)  19:30〜終電くらいまで  高円寺ちょこれーとちわわ2階にて!!
プレゼンターは前回と同じく、
たかだたたみ、郷家真悠季、スジャータ a.k.a すまきゅー、東京ディスティニーランド
です!!

料金は無料ですが、食べ物飲み物は持参で!!(簡単なソフトドリンクとスナック菓子くらいはご用意致します)

前回好評をいただいたので、第2回です!!
仕事帰りにふらりと遊びに来ませんか?また、我こそはと思うつまらない映画ウォッチャーのあなた、プレゼンターやってみませんか?
今回はちょびっとだけ会場広くなったので、くつろいで見れるんじゃないかな?
よろしくお願い致します!!!!


スポンサーサイト

  • 2014.11.04 Tuesday
  • -
  • 09:52
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>
sponsored links
ツイッター sumou_zanmai
selected entries
categories
archives
recent comment
recent trackback
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM