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再録:センチメンタル過剰

引っ越したので、旧ブログからこれは! と思われる記事を再録していきたいと思います。チョボチョボと。

イエー!自意識過剰〜!!

まずは、 2008年06月13日の記事。
 
Mナイト・シャマランの映画、『ヴィレッジ』をテレビで見る。

そこまで強烈に好きなわけじゃないけど、M・ナイト・シャマランはいつも気になる存在である。さあ、今回はどんな方法で、我々を脱力させてくれるのかな!?という本道から外れた面白さに満ちているからだ。



M・ナイト・シャマランといえば、一も無く二も無く「シックスセンス」の監督として有名である。本作の思わぬ大ヒットによって、一流監督の「烙印」を押されてしまったシャマラン。以後、過度な期待を周囲から寄せられ、新作が出る度に予告編などのプロモーションではバッチリ大作感を煽られ、そしてロードショー後、観客はガッカリして劇場を後にし、評論家からはボコスカに叩かれる。コレがもはやシャマラン映画を巡る上での一連の流れと化してしまっている。なんつうか、この状況だけ見ると、シックスセンスの遺産で何とか食い繋いでいる、一発屋監督の様にしか見えない。


しかし、である。そんな評価でいいのだろうか?よりによって僕はシックスセンスを見た事が無いので、偉そうな事を言う権利は無いけど、シャマランは、娯楽作家としては2流かもしれないが、それだけで評価を断してしまう存在でもないのだ。

何故なら、シャマランの演出力、構成力、役者への演技指導、その他諸々が堂に入ってて、面白いからである。特に、役者のキャラ付けと配置が上手い。地味な様でいて、しっかりと状況とキャラ説明をさりげなくこなし、オモロそうな舞台の下地を作り上げる。シャマランはその手管で持って、前半1時間はおよそ凡百の映画を寄せ付けない香気を放つ。おお、こりゃ面白そうだぞ、とちゃんと思わせてくれるのである。これは、ただ何も考えずに映画を撮ってる三下にはおよそ出来ない芸当である。ジワジワと話を盛り上げるのってすげえ難しいんだぞ。

今回観たヴィレッジでも、話の本題に入るまで、雄に1時間以上費やしている。外界から隔絶された平和な村。そこでの奇妙な因習と掟。村人が畏怖する異界からの侵入者の存在。若い男女のささやかなロマンス。そのバランスが崩れ、一人の村娘が外界に飛び出す時、平和な世界に隠された恐るべき真実が暴かれる!という物語の基本舞台を用意するまで、非常に丁寧に人物を描き、話の舞台を構築し、うるさ過ぎない程度に伏線をばら撒いていく。普通、こういう中々話が動き出さない映画ってのっぺりとダレるものだが、所々、サスペンスフルなシーンを挿入してあるので、観客がダレて眠ることも無い・・・はず。(僕の隣で一緒に映画を観てた母親は寝てたけど)

そんなこんなでジワジワと話を盛り上げつつ、伏線をばら撒いて、さあ、いざ、話のラスト!!と言う段になって、今までファンサービスに徹していたシャマランは、初めて我々観客にキバをむく!

「わっ!!しょもねえオチ!!」とズッコケそうになるのだ。

あんだけ、盛り上げといてこんなオチ!?という脱力感・・・!思い出しただけでもゾクゾクする。もう、笑うしかない。しょーもねー!つって。
しかもさあ、オチを出した後の映画のテキトーな事!!さっさと話を終わらせようってな具合ですぐさま舞台を閉じようとする。え、もうちょいあのキャラがどうなったのか観たいんだけど!?もうワンエピソード説明として欲しいんだけど!?という観客の要請は一切無視。もうオチ見せたからいいっしょ?と、舞台裏からシャマランがめんどくい顔をして幕を閉じてそうである(笑)
そう、シャマランは意外なオチを用意してどんでん返しする事しか考えてないのだ。観客の期待の裏をかいてそれが済んだら後はもういいや、ってスタンスなのだ!後の整合性や話の収まりのよさなど、どうでもいいのである!ヴィレッジも、ドンデン返し以外にも、掘り下げれば面白くなりそうなテーマを色々と内包しているのに、それらを全部放り投げて、オチのビックリ度に話が収斂していく。オチ自体はしょうもないのに!である・

もう、後に残された観客はポカン・・・である。何、この話!?と狐狸に化かされたかの様な不思議感覚。中々他では味わえまい。たまたま、シックスセンスは、シャマランの観客をビックリさせたい、という欲望が面白い話っていう感覚の範疇に、奇跡的に合致しただけの作品なのだ。いや、ネタじゃないって!シックスセンス以外の映画を観ると、この説があながち間違いじゃない事に気付くだろう。本当に他の映画もしょうもないオチなんだよ。

思うんだが、これ、わざとやってんじゃねえのか?と、僕は邪推してしまう。それぐらい一貫して、シャマランはしょうもない映画を撮り続けている。制作会社をだまくらかし、役者やスタッフをだまくらかし、映画館に足を運ばせる程度には観客をだまくらかし、劇場を出た後のみんなのガックリ来た顔を、シャマランは監視カメラ越しに覗いてほくそ笑んでいるんじゃねーのか?そういう疑念が常に僕の中にある。そういったB級映画の名手である気がしてならない。冒頭で述べた、娯楽作家としては2流という評価は、B級映画だと途端に輝き出す才能である。観客の腰を砕き、脱力した笑いを生み出す。こういったB級映画監督に必要な才能をシャマランはパーフェクトに備えている気がする。演出や撮影技術などの高い実力も、本当にB級映画チックな才能なのである。B級映画は、突出した特技や芸術性よりも、卒なくオールマイティにそこそこ色々こなせる技術の方が重要だからだ。だから、みんな!そういうつもりでシャマランと向き合わなければダメなんだ!

ショートショートにすれば15ページぐらいで終わりそうなぐらいの小話を、わざわざ100分超の映画に仕立てて見せる。この途方も無く奇妙な事態にみんな気付いてないなんて、皆勿体無すぎるぞ!と思っていたので、この機会にシャマラン映画の魅力を皆に啓蒙しておく。ここまで大風呂敷を広げるB級映画を撮る人ってなかなかいないんだから、話のタネに一作ぐらい見といた方がいいぞ!
それと、夏には新作公開なんですって!まあ、僕は観に行かないけど。ビデオかテレビで充分っス。

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コメント
はじめまして。
私BABYEINSTEINというところで役者やってる者です。こちらで自分たちの芝居について感想を書いていただいてるのを発見してうれしくってコメントしちゃいました。
ちなみに今週笹塚で「台所始めました。」大幅リニューアルして再演しちゃいますのでお時間有り余っちゃったら観にいらしちゃってください。
わ、コメントありがとうございます。そして、告知ありがとうございます。公演があるのは知りませんでした!都合合えば見に行きたいと思います。
元々しどろもどろのファンだったんで、ベイビーみたいな劇団はすごい好きです。
  • たたみ
  • 2009/02/18 7:38 PM
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